【東京都中央区晴海五丁目西】●東京圏では2020年東京オリンピックをめがけ公共事業が総動員である。東京銀座からは3㎞、車で10分程度の埋め立て地にはオリンピック村をつくる計画だ。環状二号線の整備も進められ、周辺は超高層のタワーマンションが数多く建つ18㏊の都有地である。計画では、50階建て・180mタワーマンション2棟など計24棟のマンション等をつくる。建築敷地13万㎡すべてを民間に売却し、民間業者が延床面積69万㎡、合計およそ6000室を整備する。オリンピック中はその一部をオリンピック村に賃料38億円で賃貸、その後、改修して一一般に売り出す。すでにマンション業者・デベロッパー13社が事業協力者として「グループ」をつくっている。 ●問題は土地の値段だ。都有地を公的な市場価格の7分の1以下でデベロッパーに売り渡す。その理由は、第一に大会期日までにマンション群をつくる、第二に大会後に一般へ販売する改修費用等をおり込んだ、と説明されている。ちなみにその価格は129億円。10万円/㎡(坪33万円)である。当該地の相場はどうみても70万~100万円/㎡。その差に面積を乗じておよそ1200億円以上、二つの理由でそんなに安くたたき売ったことになる。 ●東京都は、このオリンピック村とその周辺整備を第一種市街地再開発事業で行う。しかしその市街地再開発事業はきわめて異例のやり方だ。都市再開発法110条を使ってバナナのたたき売り価格でもよしとする。ふつうは一般市場価格程度でないと認められないが、「個人施行」だと認められる。そのため東京都施行と言いながらじつは「公共団体としての東京都施行」ではない。「1大地主の、たった1人の個人施行」とした。東京都・舛添要一知事(当時)が地主・舛添要一知事に事業認可した。その上で東京都はすべて外へ転出。権利者としての床は1㎡もない。かんたんに言うと東京都は129億円で13万㎡、10万円/㎡で敷地を手放したのだ。それを取得するのは民間デベロッパー群である。なんのことはない。再開発をトンネルに東京都の財産価格審議会にも諮らず、10万円/㎡で民間に都有地を売り渡したのだ。本来、都有地売却では「適正な価格」(地方自治法237条2項)かどうか同審議会に諮らなければならないが、これをせず「再開発」とし墨塗りだらけの不動産鑑定書しか公開していない。 さらに東京都はこの格安都有地放出に加え、土盛やインフラ整備などで378億円まで投入する。「オリンピック村再開発」の不明朗さがぬぐえない。 |
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▲銀座から3㎞。クルマで10分。環状2号線の整備が進む中央区晴海五丁目西地区は広大な更地。ここがオリンピック村再開発の対象地。10万円/㎡。 | ||
▼墨塗りだらけの不動産鑑定書、国の不動産鑑定基準には則っていないと明記。 | ||
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