【東京都中央区晴海五丁目西】●東京圏では2020年東京オリンピックを口実に再開発やら土建事業が総動員だ。東京銀座からは3㎞、車で10分程度の埋め立て地には、民間デベロッパーがオリンピック村と称して6000室ほどのマンション群をつくる。計画では、50階建て・180mタワーマンション2棟など計24棟のマンション等をつくる。オリンピック中はその一部4000室ほどを賃料38億円ほどでオリンピック村に賃貸、その後、一般に売り出す。すでにマンション業者・デベロッパー11社が特定建築者としてこの事業におさまった。 ●問題は都有地の売却値段だ。市場価格の10分の1以下なのだ。 東京都がこの投げ売り理由を説明している。第一に選手村対応の建物とする必要があった、第二に大会後に一般へ販売する改修などで資金回収に長期を要する、というのだ。ちなみにその価格は13万㎡が129億円。10万円/㎡(坪33万円)である。当該地の相場はどうみても100万円/㎡以上だから1300億円以上はする。1200億円以上安くたたき売ったのだ。 |
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▲銀座から3㎞。クルマで10分。環状2号線の整備が進む中央区晴海五丁目西地区は広大な更地。ここがオリンピック村再開発の対象地。10万円/㎡。2016年6月10日撮影。 | ||
▼墨塗りだらけの価格調査報告書、国の不動産鑑定基準には則っていないと明記。2016年10月開示のもの。 | ||
●東京都は、投げ売りするときに第一種市街地再開発事業とするとした。しかしその市街地再開発事業はきわめて異例のやり方だ。都市再開発法の特例を駆使。一般の市街地再開発事業では、価格基準は一般市場価格程度である。でないと転出するにもビル内に入るにも再開発前の地主が、マル得ないし大損してしまうからだ。しかし再開発の「個人施行」だと地主自らが再開発前の土地の価格決定をできる。地主が自らの判断で得しようが損しようが勝手に価格決定をしてよいとしている。 だから今回の再開発は「個人施行」とあえてしているのだ。「東京都の施行」と言いながら「公共団体としての東京都施行」ではない。「一地主の個人施行」という体裁だ。当時の東京都知事・舛添要一さんが、地主として土地の値段を10分の1にすることに同意し、その上すべての東京都の土地の権利について「転出申出」(譲渡申出)を行った。地主が自ら大損して転出するのも自己責任というわけだ。地主が格安で転出した後のぽっかり空いた空間は施行者が取得する。今度は施行者の顔をした舛添さんが取得した。その後、施行者は特定建築者に譲渡したのだ。舛添さんは、地主、監督官庁、施行者と一人三役を使い分け大忙しだ。 ●かんたんに言うと東京都は再開発をトンネルに129億円で13万㎡、10万円/㎡で敷地を手放したのだ。東京都は財産価格審議会にも諮らず、東京都議会も無視して「適正な対価」(地方自治法237条2項)なく、都有地を民間に売り渡した。未だに東京都は墨塗りだらけの価格調査報告書しか公開していない。 さらに東京都はこの格安都有地放出に加え、土盛やインフラ整備などで378億円まで投入する。 「オリンピック村再開発」の不明朗さがぬぐえない。 |
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