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東京都千代田区飯田橋駅前・組合施行の再開発、富士見二丁目北部地区再開発事業がこの春先竣工した。


●住民がなんで被告席に座らされるの
  -あべこべの話-
【千代田区飯田橋駅前・富士見二丁目北部再開発】

 住民が再開発の施行者から訴えられ裁判所で被告席に座らされる-「そんな、まさか、それではアベコベです」とは、かつての東京都幹部だったある高名な財政学者の方の驚きの弁。都市再生特別措置法施行以来の「現代再開発事業」ではそんな光景がみられる。昔は、追い出されようとする住民が施行者を相手取り訴訟に出ることがよくあったが、今や、再開発組合が住民の追い出し訴訟をする構図となっている。
 2006年1月25日、東京地裁は6人の住民を被告として法廷に呼び出した。88歳の女性は、日だまりの綺麗に手入れされた庭と住宅に大正時代から静かに暮らしてきた。彼女に再開発組合は、36階のマンション床を権利変換で押しつけた。納得できず彼女はそのまま住み続けていた。下の写真はそのお隣、同じく被告席に立たされたBさんの壊されている住宅。被告席に立たされた多くの住民は、心労で持病を悪化、お亡くなりになられた方も何人もいる。

Bさんはやむなく直前に退去。壊されたBさんの家。

 こうした数々の事態を進行させながら再開発事業(富士見二丁目北部、組合施行、飯田橋駅前)は昨年竣工。参加組合員であった大手デベロッパーによれば、マンションは即日完売、いま、その巨大な姿を現している。
 1980年代、当時の政権のスローガンはアーバンルネッサンス。都内各地に頻発した地上げは、火つけ、ダンプで突っ込むなど、もっぱら不法行為で進められた。今日、都市再生特別措置法以来の地上げは、構造改革路線によるいろいろな法改正の結果、市街地再開発事業による合法的な地上げとなり、住み続けた住民側が「不法行為」のレッテルを貼られることになった。まさに「あべこべ」の世界が「都市再生下の再開発」となった。(P)


                              2010年10月20日更新

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