?

めざせ! 住民主権のまちづくり
NPO・特定非営利活動法人 区画整理・再開発対策全国連絡会議
 Copyright c  無断転載はお断りします。  E-mail info@kukaku.org


ようこそ NPO法人 区画整理・再開発対策全国連絡会議                     です

        


      今月のphoto

矢印が追立てられているAさん宅。一帯を保留地とされ超高層マンションが建設される。

























「真っ黒字」の区画整理組合
  ―陰で住民の土地を本人が知らぬ間に処分していた―

【千葉県習志野市津田沼駅南区画整理】全国どこにいっても組合区画整理は破たんの話しかないが、ここ津田沼駅南区画整理組合は真っ黒字の区画整理組合である。組合設立総会が開かれた2007年8月の翌月にはなんと保留地の6割を売ってしまい、予定の保留地処分金総額68億を上回る74億円にもなったのである。残り4割の処分も終わると20億以上の黒字が出る見通しである。
 津田沼駅は東京駅から通勤電車で30分、その駅から至近の35haがつい最近まで調整区域でほとんどが農地だった。そこを一気にマンション事業用地に転換するべく区画整理が計画された。組合施行といっても実質は業務代行のゼネコンが仕切っている。
 ここの組合の戦略の第一は、従前土地評価を高く従後土地評価を低くし、とれる補助金はすべてとりつくすことだ。150億の総事業費に対してなんと6割近くが補助金、公共施設管理者負担金等、公共資金であり、保留地処分金に依存する部分をわずか45%にした。
 その第二は、保留地を未造成でも一気に組合設立時点で処分してしまう、いわば「保留地の青田売り」方式だ。区画整理の「計画時点と保留地処分時点に時間差を設けない」高等戦術である。その結果、折しも「ミニバブル」にあって保留地を予定価格より高く処分することができ真っ黒字とした。
 他方、この未造成でもとにかく保留地を処分してしまうやり方が、区域にわずかにあった住宅地の住民へ過酷な住民追い出しとなった。前代未聞の保留地処分方式が、ながらくこの地に住んでいた住民が知らぬ間に自分の住んでいる土地が売却される事態をひきおこしたのである。マンション業者との間では保留地の「納期」も約束された。
 病身のAさんの場合は仮換地指定が2009年4月だったが、その時点で仮換地先は未だ未造成だった。しかしそれでも早く移転するよう迫られた。Aさんは区画整理に反対ということではなかったが、あまりに性急なやり方に老身の自分としてはついていけない、もっと自分のペースで移転先の建築をやらせて欲しい旨は何度も申し入れていた。
 ところが区画整理組合は、「納期」に間に合わすべく、2010年6月に、この12月末日を期限に更地にして明け渡すよう「建物等除却照会」まで出してきた。Aさんは来年5月には自分の仮換地先建物が竣工するからそれまで待って欲しい、移転も2度移転は辛いから1度にして欲しい旨申し入れているが、組合は聞く耳持たず、保留地の買主との「約束」最優先で強制執行も視野に入れた準備をしているところだ。
 80年代の「地上げ」はもっぱら火付け、ダンプで家に体当たりするなど不法行為で進められていた。現代の「地上げ」は土地区画整理法、都市再開発法の強制執行権を盾に使いながら合法的に進められているのだ。ここに「都市再生」下、「民間」に投げられた都市計画事業の「時間管理」の実態、変質ぶりが示されているのではないか。(P)



                              2010年11月20日更新




                             ■トップページにもどる