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鳥居坂にある緑豊かな旧岩崎邸(国際文化会館) |
●第二の六本木ヒルズづくりが「都市再生」なのか
― 利潤至上主義が歴史ある街なみを否定する―
【東京都港区鳥居坂】森ビルが六本木ヒルズの隣りに新たな超高層かつ大型再開発を計画している。いわば第二の六本木ヒルズ級のもので、対象は鳥居坂地域、六本木五丁目西、約8.1haだ。森ビル肝いりですでに準備組合が結成され基本計画案が提示されている。近々、都市計画提案を行い都市再生特別地区となることも視野に入れている。
先頃、地域内にある古くから由緒ある低層の「鳥居坂三生マンション」の管理組合が再開発準備組合から退会した。森ビルの進める超高層ビル群計画では、同マンションの管理組合管理規約でうたわれている「区分所有者の共同の利益を維持し、良好な住環境を保持することを目的とする」ことが担保できないことなどがその理由。準備組合を抜けると情報が入りませんよ、マンションが抜けても計画区域に入れられますよ、強制執行もありえますよ、などの言い分が流布されている。住民からみれば、なぜこの地の住民でもない者が、長らく住み続けている住民を差し置いて「勝手な言い分」を押し付けるのか、強い批判が起きている。
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六本木ヒルズ |
この鳥居坂の再開発計画では、ここに80階スケールまでの超高層の再開発ビル群を建てる。いまある低層マンションも高層ビル中心に建て替えられてしまい、総事業費も数千億円規模の一大土建事業だ。
鳥居坂は、六本木とはいえ繁華街ではなく奥まった住宅地である。学校や教会、低層マンションなどがある閑静な街で、旧岩崎邸である「国際文化会館」の庭園は、都内でも有数の緑の景観をなし、まわりと調和し落ち着いたたたずまいを見せている。
この5月21日、「国際文化会館」にて開かれた同マンション管理組合臨時総会では、この再開発準備組合に参加しつづけるか、反対するか、さもなくば東日本大震災などもみながらしばらく再開発に参加することを凍結して退会するか、問うた。採決したところ、2対2対20、「凍結退会」が多数を占め、退会となった。東日本大震災・原発事故は、「高エネルギー型都市政策」の転換をも促しているが、まさにその点での見直しを示唆しているのではなかろうか。 (編集部)
2011年8月28日更新