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隅田川からみた都市空間、東京スカイツリー |
時が都市空間を切り裂く光景
東京スカイツリーのことが、マスコミの記事が毎日のように取り上げられている。高所恐怖症の私は、高いところに昇ることにあまり興味がない。
たまたま、浜離宮から浅草までの水上バスで隅田川をさかのぼる機会があった。写真はその時に撮ったひとコマである。思わず時が都市空間を切り裂く様子を映し出していた。
水平に走る高架道は、首都高速道路である。高度経済成長下で、巨大都市東京を肯定して既成市街地の改造が始まるのが1960年代である。1961年発表の丹下健三の「東京計画1960」は、その時代を表象するモダニズム都市改造プランだった。1964年開催の東京オリンピックを期にスクラップ&ビルドが急速に進行し、首都高速道路は巨大都市を支えるインフラとして整備され、時代を象徴している。
バブル景気期には、1980年代に世界的に風靡したポストモダン建築の影響を受けた建物が東京にも出現した。アサヒビールタワーと隣接するスーパードライホールもそうした建物である。アサヒビールタワーは、ガラスで覆われた外壁と泡に模した屋上がビールジョッキのような外観をていしている。隣のスーパードライホールではフランスのデザイナーによる巨大な「炎のオブジェ」が屋上を覆っている。その形から「うんこビル」などと呼ばれている。いずれも1989年に完成している。
そして、世界一の高さを競い合あって建設された634メートツの東京スカイツリーである。さらに、ツリーの左に見えるのが、墨田区役所の高層ビル、右奥に見えるのが、UR都市再生機構の高層住宅である。
高層建築、建造物が、それぞれ勝手に自己主張して競い合うように都市空間を独占している様子を写真は切り取っていた。都市空間は誰のものかを問うている。 photo:2012/06/15
波多野憲男
昨秋の全国研究集会 10月27(土)~28日、成功のうちに終了しました。
2013年7月25日更新
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